銀行評価を考えた確定申告書・決算書の書き方

物件を購入し続けられる「確定申告書」の書き方

ここでは個人の確定申告書についてご説明しましょう。不動産購入時には不動産取得税、仲介手数料、登記費用などの経費がかかりますが、それらを経費計上することで不動産収入や給与所得などの所得と損益通算ができるので、所得税や住民税を節税できます。

このように不動産投資の大きなメリットの1つは「節税」ですが、何でも経費にして損益通算で節税をすることが正しいわけではありません。確定申告書が赤字になり採算が取れていないと判断されてしまうと金融機関からそれ以上融資を受けられなくなるため、確定申告書の書き方は非常に重要です。
確定申告書は前述のとおり「売上高+減価償却費-支出=黒字」であることが望ましい書き方になります。

確定申告書上で「売上高+減価償却費-支出」による黒字が微々たるものか、赤字になるような状態であると、2件目の物件購入の融資が受けられなくなってしまうことがあります。規模の拡大を視野に入れている場合には、確定申告書の書き方はよく注意してください。

また、登記費用や不動産取得税を確定申告書の「租税公課欄」に入れてしまうと、毎年かかるその他の「租税公課」と混同して見えてしまい、この事業は利益が出ないと金融機関に判断されてしまうこともあるため、「不動産取得における一過性の経費」と明示する必要があります。その場合、必要経費の項目に「不動産取得費用など」を追加して不動産取得用にかかった経費を明記するとよいでしょう。

確定申告書や決算書は融資審査のうえで非常に重要です。このように「不動産取得における一過性の経費」と明示しておくことで、金融機関側の審査が通りやすくなりますので、ぜひこのひと手間をかけてみてください。もちろん、金融機関によっては一過性であろうと経費は経費として見られることもありますが、複数の金融機関を当たれば融資を受けることは難しくありません。

私の友人は東証一部上場企業に10年以上勤務していますが、利回りの低い3000万円の区分マンションを購入したところ、翌年に自宅のリフォームローンの300万円も融資審査が通りませんでした。個人の属性であればアパートローンが2億近くまでは組めるはずですが、購入した物件の利回りが低かったことと、一過性の経費と明記しなかったために「売上高+減価償却費-支出=黒字」にすることができず、このような状態になっていました。

こうなってしまっては根気よく金融機関を探し続けるか、1年~2年待って確定申告書を黒字にすることで与信を回復させるしかありません。

物件を購入し続けられる「決算書」の書き方

次に法人の決算書についてご説明します。法人の場合は2期連続黒字(かつ24カ月以上の事業実績)にできれば、プロパーローンのテーブルに乗せることができます。

物件を購入した際には、必ず不動産取得費用(仲介手数料、不動産取得税など)で経費が大きくかかります。不動産取得費用は、個人の場合は「一括損金」として計上することしかできませんが、法人の場合だと「一括損金」にすることも、「資産」として計上することもできます。

金融機関によっても見方は変わってきますが、複数の金融機関から有利に融資を受けていきたければ「資産」計上することをお勧めします。

一括損金にして初年度に経費扱いとするのか、資産にして減価償却で将来的に経費としていくのかの違いのため、最終的に節税効果に変わりはありません。ただし、例えば300万円の売上のある年に新たに残存法廷耐用年数が10年の物件を購入し、不動産取得費用が500万円かかった場合、一括損金にすると収支を圧迫して赤字になり得ますが、資産計上するならば年に50万円の減価償却となり、決算書を黒字に終わらせられる可能性があります。(例のためその他の経費は割愛します。)。「お金の現在正味価値」というファイナンスの原理原則には反していますが、規模を拡大するという将来性を考えるのであれば金融機関から融資を得るためにも決算書は2期連続黒字にした方が望ましいので、「一括損金」よりも「資産」にする方が効率は良いといえるでしょう。